幸福度にフォーカスした住宅の選び方を教えて

Q.住宅の選び方について質問です。

 住宅の選び方は個々により色々あると思いますが、幸福度にフォーカスした住宅の選び方があれば教えてください。

 

A.住宅の選び方は個々のライフスタイルにより様々な選択がありますが、ここでは幸福度に焦点を当てた住宅の選び方について解説していきます。

最近調査された不動産リサーチレポートは、「初めて自分の家を買うことが多い30代・40代の人が、どんなところに住むと幸せを感じやすいか」について調べたものがあります。

 

1.都心に近いとか、値段が高いだけが幸せじゃない?

「いい家に住むなら都心に近くて、値段が高い(=価値がある)家がいいんじゃない?」って思うかもしれません。

しかしこのレポートの調査によると、都心からの距離やその土地の値段が高いことと、住んでいる人の「幸せ度」の間にはそれほど強い相関がないことがわかったんです。

つまり、単純に都心に近かったり、高価だったりするだけで、必ずしも幸せになれるわけではないみたいです。

レポートには「お金で幸せはほとんど買えないのかもしれない」と書かれています。

 

2.「地域幸福度指標」って何だろう?

そこで注目されているのが、「地域幸福度指標」というものです。

これは、その地域全体が「どれくらい暮らしやすいか」とか「住んでいる人がどれくらい幸せを感じているか」を数値で分かりやすくしたものなんです。

この指標は、住んでいる人がアンケートに答えて「生活環境」「地域の人間関係」、「自分らしい生き方」といった3つの大きな視点からその地域の良いところやもう少しなところを評価しています。

このレポートでは特に家を選ぶときに大事になる「生活環境」の視点に注目して分析しています。

 

3.住む場所(都心からの距離)で、「幸せを感じるポイント」が違う!

面白いのは都心からどれくらい離れているかによってどんなことが「幸せ」につながるかが違うという結果が出ていることです。

レポートでは、都心からの距離を3つのグループに分けて調べています。

  • 都心から15kmくらいまでの近い場所:

    • ここでは、「子育て」に関すること(子育て支援が手厚いか、子供たちが元気に過ごせるかなど)や、「公共空間」(公園や川沿いなど、気持ちよく過ごせる場所があるか)が、幸せを感じることと特に関係が深いようです。
    • 他にも、医療や買い物、交通の便、遊び場、学校、地域の行政の対応、街の景色、治安、自然、災害への備えなど、生活環境に関わる色々なことが幸せと関係していました。
  • 都心から15kmよりも離れた場所:

    • 都心から離れるにつれて、「住宅環境」(家にいて心地よいか、騒音がないか、値段は適切かなど)や、「移動・交通」(電車やバスなどで好きな時に移動しやすいか)が、幸せを感じることと関係が深くなります。
      都心から離れると家の質や値段、通勤や外出の便利さの違いが大きくなるので、それが幸せに影響しやすいと考えられます。
  • 特に都心から15km~30kmくらいの場所:

    • この距離だと上の「住宅環境」や「移動・交通」に加えて、「自然災害」への備え(自治体の防災対策など)や身近に「自然の恵み」(海や山、川など)を感じられる環境があることも幸せに関係しているようです。
  • 特に都心から30km~50kmくらいの場所:

    • この距離になると、上の「住宅環境」や「移動・交通」に加えて、近くで「遊び・娯楽」を楽しめる場所があることや、「雇用・所得」(仕事を見つけやすい機会があるか、適切な収入が得られるか)といったことが幸せにつながりやすいようです。

4.「この街のこれがすごい!」が幸せを高めることも

もう一つ分かったのはある特定の良いところが他の街よりも「ものすごく優れている」場合、それがその街に住む人の幸せを大きく高める可能性があるということです。

例えば、都心から15km以内で平均幸福度が一番高かった浦安市は、「子育て」が良いのはもちろんですが、それ以外にも「都市の景色」や「自然の景色」、「自然の恵み」が特に優れていました。

海を埋め立てて、計画的に作られた街なので、きれいな景色や自然に触れられる場所が多いことが幸せにつながっているのかもしれません。

また、都心から15kmより離れた場所で一番幸福度が高かった海老名市は、「遊び・娯楽」と「移動・交通」が特に優れていました。

駅の周りが再開発されてお店や公共施設が集まっているなど、すごく便利になったことが幸せにつながっていると考えられます。

 

5.「家が買えない」って、全ての家が買えないわけじゃない

最近、「住宅は高くて、若い世代には買えない」という話をよく聞くかもしれません。

このレポートを見ると、確かに都心のマンションは買うのにとても高い自己資金や年収が必要で、多くの人にとっては手に入れるのが難しいことがわかります。

しかしレポートのデータを見ると、都心から離れた郊外の一戸建てなら都心のマンションに比べて必要な年収がぐっと低くなり、多くの世帯が手に入れられる価格帯にあることがわかります。

都心の高い家を無理して買って、ローンを返すのに大変で、好きなことにお金を使えない…といった状況だと、かえって幸せ度が下がってしまうかもしれません。

 

まとめ:自分にとって何が大切か考えて選ぼう!

幸せを重視した住宅選びをするなら、他の人が「ここがいい」「これが普通」と言っていることに流されるのではなく

  • 自分や家族は、どんな生活をしたいかな?
  • 子育て環境が大事? 電車が便利なのが大事? 自然が豊かなのが大事? 遊び場が近いのが大事?

 

のように、自分たちのライフスタイルに合っていて、特に何を大切にしたいかを考えて、それに合う街や家を選ぶことがより幸せにつながる大切なポイントになりそうですね。